書音

□相合傘
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『今日の降水確率は零パーセント。秋晴れの良い天気になるでしょう』


だったんじゃないのか
昌浩は今にも雨が降り出しそうな空を、教室の窓から眺めていた。ちなみに昌浩の席は、窓側の一番後ろだ。
窓の下には、下校を始めた生徒たちがちらちら現れ始めていた。
昌浩たちのクラスは担任が来るのが遅かった分、遅れている。

雨が降らないうちに帰れるかな
つらつらと考え事をしている間に、昌浩のクラスも下校となった。

昌浩は靴を履き変えると、今すぐにでも雨が降りだしそうな空の下に駆け出した。

だがその足は五分もしないうちに止まる。

ポタッ

空から落ちてきた雫が一つ。昌浩の肩に染みを作った。

「うわっ、降ってきた」

雨はすぐに大雨に変わった。
もう少し行けば図書館がある。その屋根の下に避難しよう。
昌浩は走るスピードを速めた。

「あーもう最悪」

濡れてしまった身体から、水を払う。
昌浩は空を見上げた。
止みそうな気配はない。
それどころか雨は時間が経つにつれて、酷くなっていた。

「昌浩!?」

後ろで自動ドアが開いた音がして、肩越しに顧みたらその子は悲鳴に近い声で名を呼んだ。

「あれ?彰子何でここに」
「えっと、本を返しに…。それより昌浩ずぶ濡れ。どうしたの?」
「傘忘れちゃってさ。降られた」

昌浩は苦虫を十匹ほど噛み潰したような顔をした。

「なら一緒に帰りましょ」

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