書音

□キミが決めた日
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「じゃあ昌浩は俺の誕生日、いつだと思う?」

その言い返しに、昌浩だけじゃなく、勾陣までもが目を丸くしていた。

「んー…そうだ!」

そのまま悩み込んだ昌浩は、何かを思い付いたらしく居間の方へ走っていった。

「なんであんな風に言ったんだ?」

二人だけになった台所で、勾陣は疑問に思ったことを訊いた。

「ん?」

膝を折ったまま、紅蓮は上目遣いに勾陣を見上げた。

「あのほうが自然だろ?俺たちは誕生日なんて知らないんだから」

そう笑う顔はどこか寂しそうに、勾陣には見えた。

「ねぇ、ぐれん」

そこにカレンダーを抱えた昌浩が、とたとたとやって来た。

「ぐれんのたんじょうびはしがつ?」
「四月?なんでまた」

口を挟んだのは勾陣だ。

「だってぐれんはあったかいでしょ?だから!」

にっこりと得意気に笑う昌浩の頭に優しく手が置かれた。

「そうか。ありがとな」

昌浩は何で礼を言われたのか分からなかったのか、きょとんと首を傾げている。

「昌浩」
「およ?」

紅蓮の手をどけて、勾陣は昌浩を抱き上げた。

「四月になったらコイツの誕生会をするか」
「うん!おいわいー」
「おいおい、本気か?」
「当たり前だろ。なぁ昌浩?」
「うん!」

紅蓮のお誕生日は四月ーと笑っていた昌浩は、下に下ろしてもらうと居間の方に走っていった。
どうやら紅蓮の誕生日を晴明に教えるつもりらしい。

「せっかくの誕生日だ。存分に祝ってもらえ」
「うるせー」

こんな事になるとは考えていなかった十二神将最強の主夫は、困り果てながら嬉しそうに笑っていた。


End.
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