物語
□知らない横顔
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(いったい誰なのだろう?)
クラスの視線が集まっている扉を見る。
「―昌浩っ!」
さっきまで考えていた本人がそこに、居た。
彼は誰かを探しているようだ。
自分では無いだろうと思い、本を読みなおす。
「…き…、…あ…こ、彰子!」
呼ばれている事に気が付いた。
その声の先には。
「やっと気付いた」
ドアップの昌浩。しかもかなりの笑顔で。
「なっ!…何ですか?、安倍先輩…」
普段は“昌浩”と呼ぶのがだ、初めて“安倍先輩”と呼んだ。
今日は余りにも“安倍先輩”と言う言葉を聞きすぎた。
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