短い夢

□ひらひらひとひら
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ひらひら舞う花びら


あたしは花の中で桜が一番すき




満開は見逃しちゃったけど、散りゆく桜の方が風情があると思う





なんて浸っていたら



「うわぁー赤くしてー」

『…………』


ぶち壊しだ。




わかるよ、ベルの言いたいことくらい。


血のように赤く染めたい、とか言い出すんでしょ?
んで、それ見て半狂乱になるんだ。
誰が止めるんだ、それを。
ムリだよ、あたしは。


確実に殺られる………





『あのねぇ、ベル……キレイだなぁとか思わないわけ?』

「血の方がキレイじゃん」


聞いたあたしがバカだった……

つーか見に来る相手間違えた


『まだスクアーロの方がマ…ぅわ!?』


急に吹いた風でひらひら花びらが舞った。
おかげで


「ししっ、花まみれー」


えぇ、花まみれですよ。
髪にくっついてますよ。
ヤバイぞ、なんか企んでるよ、この変態王子。


「おまえ血塗れにしたら桜も真っ赤ー」


ほらぁー!!!
とんでもなく恐ろしいこと言い出したぁー!!!!


『ちょっ、来んな!!』

「ししっ」


殺られるぅー!!!!














ぱしぱしっ




『………へ?』


は、払ってくれてる?






『ベ、ベル?』

「動かない」

『う、うん……』


あれ、おかしいな……
普通に払ってくれてる


「ししっ、顔にもついてんじゃん。ちょっと目瞑って」

『ん』









―  ―



……………は?





「とれたとれた」

『え、いや、あの……』

「あれ?まだついてる?」

『ついてないついてない!!つーかさっきもついてない!!!』

「ししっ、間違えたぁー」


楽しそうに笑ってるベルを見て、あたしの顔はベルのお望み通り真っ赤に染まった。


















王子間違えた。
だってアイツの唇が桜とおんなじ色してんだもん。




ひらひらひとひら



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