短い夢
□指輪の神話
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「さみぃんだろ?」
そう言って手を握ってくれた。
スクアーロの手はあたし程冷えてなかったけど、暖かくもなかった。
でも、スクアーロの優しさが嬉しかった。
散々キレたのに。
少し感動してたら、左手に冷たい物が触れて思わずビクッ、と震えた。
『え……?』
自分の左手を見たら指輪が填められてた。
左手の薬指に……
『………結婚指輪?』
「違ぇ!誕生日プレゼントだぁ!!」
『……覚えてくれてたんだ』
「当たり前だぁ。何年付き合ってると思ってんだぁ」
スクアーロ顔真っ赤。
何年付き合っても変わんないね。
『ありがと』
「……あぁ」
さっき悪態ついてた自分をおもっいっきり助走つけてはったおしてやりたい……
『……ねぇ、スクアーロ』
「なんだぁ?」
『知ってる?古代ギリシャじゃ、左手の薬指の血は直接心臓に流れてるって信じてたんだって』
「それがどうかしたのかぁ?」
『だから結婚指輪は左手の薬指にするんだって』
「………」
『継ぎ目のない指輪は永遠に別れることのない二人を意味するの。なんかいいよね、そういうの』
………………
なんか自分で言ってて恥ずかしくなってきた……
―ちゅっ―
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