短い夢2
□撮影中
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リボーン監督のもみあげがキマったということでなんとか撮影開始。
あぁ、ホントよかった……、ザンザス君がツナ君にあれ以上頭下げずに済んで。ホントなんであんなにも可愛い顔してる癖に性格歪んでるんだか。
『あ、了平君。1発OKだったね』
「あ、お疲れ様です……」
『やっぱ俳優さんってすごいなぁ』
「いえ、それほどでも……」
『……………』
「……………」
なんでこんなにもテンション低いんだァァァァ!!
っていうか根暗すぎっ!!
了平君の担当じゃないから役のイメージしかなかったけど、普段こんな子なのっ!?
「了平さん、次のシーン撮影するらしいですよ」
「あ、はい……、わかりました」
あ、行っちゃった。
それにしてもなんでザンザス君が呼びに来てるんだろ。スタッフさんの仕事なのに。
しかも撮影始まった。了平君ってもしかして……
「きょぉくげぇぇぇぇぇんっ!!」
………、カメラ回るとスイッチ切り替わる子なんだ。
やっぱ『ボンゴレ』事務所には変わった子が多いなぁ。
「は、俳優さんって皆さんあんな感じなんですか……」
『いや、あの子が特別なんだと思います……』
最近この業界に入ったザンザス君にはびっくりする光景だろうなぁ。
「ねぇ、監督。僕はこっちの方がいいと思うんだ」
お、いいね。こういうとこ見た方がザンザス君の勉強になるよ。
いいよね、監督と俳優さんが意見言い合って1つの作品作り上げていくのって。
「僕はマシマロよりおにぎりの方がいいと思うんだ」
どこの大将ですかァァァァ!!
そのルックスでランニング着ておむすび頬張るってか、白蘭君っ!?
「ほら、僕ってマシマロ大っ嫌いでしょ?あまりに嫌いすぎてマシマロって言っちゃうくらいだし?」
いやいや、それはこじつけと言うんだよ。
こんなとこ見ても勉強にならないじゃない!!ザンザス君にはもっといい俳優になってもらってツナ君の歪んだ性格を直してもらわないと……っ!!
「つーかお前ヤル気あんの?」
はい、また来た、悪魔さま。
あの台詞だけでツナ君だってわかるのがなんか悲しい気が……
「す、すみません……」
「お前NG多すぎなんだよ、台本ちゃんと呼んでんのかよ?」
「呼んでるんですけど覚えられなくて……」
「覚える気がないから覚えられないんだろ?お前のシーン終わらないとオレが帰れねーんだよ」
「す、すみません……」
それにしても今回のターゲットは誰だろう?ザンザス君はあたしの隣というか寧ろ背後に隠れちゃってるし……
「ホントいい加減にしろよ、ヒバリ」
って、雲雀くんんんんんっ!?
「オレの役お前の方がピッタリだな。役作りしなくたっていーんだから」
確かにNG多いって担当マネージャーから聞いてたけどそこまでっ!?
つーかツナ君黒すぎるっ!!
「あぁーあ、なんか腹へった。おい、お前買って来いよ」
とうとうパシリにする気かっ!!
…って、あれ?雲雀君いないけど。
「早くしろよ、ザンザス」
こっちかァァァァァっ!?
『ツ、ツナ君!!あたしが行ってくるから!!』
「はぁ!?新人がやるもんだろ」
『マネージャーだから!!あたしマネージャーだからっ!!』
お願いだからザンザス君にパシリさせないでっ!!
これ以上みじめで可哀相なザンザス君見たくないからァァァァ!!
「つーかダッシュで買いに行ったからお前行かなくていいし」
『って、いねェェェェ!!』
もしドラマだったら
―撮影中―
(これヤダ。もっかい行って来い)
(ちょっ、ツナ君!!)
(すみません、いってきます!!)
(パシリしなくていいからァァ!!)
(何やってんだぁ、お前ら……)
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