短い夢2
□テイクアウト
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「王子、はらへった」
任務で来たジャッポーネ。
移動の車ん中、珍しくカス鮫とオカマも一緒。コイツらの顔もそろそろ見飽きたし。
「我慢しろぉ……」
「そうよ、ベルちゃん。もうすぐジェット機に乗るんだから」
「ヤダ。オレ、王子だから我慢とかムリ」
「わがまま言ってんじゃねぇぞぉ、ガキィ」
はらへってる時にカス鮫の相手なんかしてらんねー。
外に視線を向けると、オレ達の街でもよく見かけるもんが目に入った。
「いーじゃん、あそこで」
「は?」
「なぁに?」
間抜け面揃って窓の外を見ると、くるくる回ってる黄色いMマーク。
「………、寄るの?」
「ししっ、よくね?ちょうど車なんだし」
「車って………、リムジンだぞぉ?」
「関係ねーし」
ま、オレもリムジン乗ってる奴があーゆー店に寄るの見たことねーけど。つか、リムジンがドライブスルー使うとかウケんじゃん。
「で、あとは……、ポテトのL2つね。以上よ」
「はい、かしこまりました。前でお会計いたしますので、ごゆっくりお進み下さいませ!!」
注文済まして進む車。最初びっくりした顔してた店員の顔マジウケるし。
「つーか、なんで外に店員いるわけ?」
「土日のお昼だからでしょ。早くするために外で注文受けたりするのよ」
「ふーん」
オカマの言う通り、少し進んだところでもう1人店員がいた。レジみたいなのの前でいらっしゃいませーとか言ってる。
『では、お会計が……』
「追加」
『はい、追加ですね?いかがなさいますか?』
「お前」
『………、はい?』
ドアを開けてすぐ中に引っ張り込んで、運転手に出せ、と命令。戸惑ってたけど、ナイフを投げた途端に黙って猛スピードで出てくリムジン。
とりあえずギャーギャー騒いでるカス2人はほっといて、頭の被りもんをとっぱらうと、思った通りキレイな顔してるし。
『あ、あのっ!!』
「ししっ、きーめた」
『は、はいっ?』
「お前、イタリアに連れて帰る」
『はぁっ!?ちょっ、あたしバイト中です!!』
「しししっ、知るかよ。だってオレ王子だもん」
『そんなことの方が知りませんーっ!!』
カス2人と違って、ナイフ出した途端に青ざめて黙った女。
もうメシいいや、帰ってからコイツとどっか食いに行こ。
「ちょっ、ベルちゃん!?」
「何してんだぁっ、お前は!!」
「テイクアウト」
「全然うまくねェェェェェっ!!」
Takeout For You
(元の場所に戻してきなさいっ!!)
(オレが面倒見んだからよくね?)
(犬猫じゃねーんだぞぉっ!!)
(とりあえずあんた達だれっ!?)
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