短い夢
□男は狼
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『ゴホッ コホッ……』
ゔ〜……、咳どま゙んない゙。
熱いし、ダルイし、鼻ずるずるだし、関節痛いし…、なんだ、インフルエンザか、インフルなのか?
『ぅえ゙、っぐし……っ!!』
「もっと色気ある声出せねぇのか、てめぇは……」
『………む゙り゙』
あ゙ぁ、なんだ……。
この全部に濁点ついてそうな声は、スクアーロかっつーの。
つーか、色気のあるくしゃみってどんなだ。可愛く、っくし!!、とか言えばいいのか。ムリだね、ムリ。
あたしは生まれてこのかた、カトちゃんみたいなくしゃみしかしたことないもん。
あ、それヤバイな。生まれた時からオヤジ……、って、違う!!
オイ、こら。
そこの目付き悪いの!!心配しろ、心配ィィィっ!!自分の彼女が風邪で寝込んでるんだから、少しは大丈夫か?、くらいの優しい一言ないのかぁっ!!
……て、ムリだね。つか、怖い、そんなザンザス。
「………なんか文句でもあんのか?」
『……な゙い゙』
ほらみろ。
絶対そんな言葉出てきやしない。
ちょっと見ただけでアレだよ?大丈夫か、の"だ"の字だってないね。寧ろザンザスの辞書には大丈夫って単語自体ないな……
てゆーか、あたしの部屋にお見舞いに来てる…、んだよ、ね?そんな怖い顔することないじゃん。元から怖い顔してんだから。
「オイ、カス」
『っ…、カ……カス?』
自分の彼女カス呼ばわりっ!?
するか普通!?しないよね!!
弱ってる時くらい労わってくれてもいいじゃんバカっ!!
「てめぇの国には"なんとかは風邪引かない"って言葉があるんじゃねぇのか?」
馬鹿って言いたいんですか、このDVは。
仕方ないじゃん。スクアーロとベルのケンカという名の殺し合いに巻き込まれてプールに落とされたんだから。あたしに非はない!!
とりあえずあのバカ2人はインフルになってしまえ。
『………風邪、うつしたら治るって言うもん』
「……………」
お、なんかこっち来た。
もしかして、あたしの言葉真に受けて風邪もらってあげよう、とか可愛いこと考えて……、
「うつしたら、治るんだな…?」
え、嘘、マジ?
あたし冗談で思ってたんですけど……。
って、あのぉ…、
『何、この体勢……?』
「風邪うつすんだろぉが?」
『えーっと、そうは言いましたけど、も……』
何故押し倒されてるの!?
いやいや、あたしは最初から寝てたから、馬乗り……?って、そんな悠長なっ!!
『い、意味わかんないっ!!どいてよ、ザンザス!!』
「オレが風邪引いてやろうって言ってんじゃねーか」
『ちょっ、絶対ちがう!!おかしいっなんか間違ってる!!』
「っるせぇ」
『また熱あがるーっ!!助けてスクアーロ、ベル、ルッスーリア、マーモン……
男は狼なのよ
(気をつけなさっいぃ〜♪)
(ご機嫌だね、ルッスーリア)
(キモイだけじゃね?)
(ぶり返したらしいな……)
(ボスの所為だろぉ)
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