短い夢
□ダイナマイト点火!!
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「……………」
「……………」
「……………」
「なんだ、アイツに彼氏が出来たくらいでヘコんでんのか、情けねーな」
「ちょ、リボーン!!」
相変わらずツナの部屋に集まってる獄寺と山本。
いつもと違うのはツナの幼なじみで、獄寺が好意を寄せてるアイツがいないってことだな。
まぁ、さっき言った通りアイツに彼氏が出来たそうだ。獄寺がぐずぐずしてる間に他の男に持ってかれちまったみてーだ。カッコ悪ぃぞ、獄寺。
アイツが好きだってようやく認めた途端に失恋、笑えねーな。
オレは笑うけどな。
「ったく、どーすっかなぁ……」
カッコ悪ぃ、リボーンさんに言われてから1ヶ月が過ぎた。
未だにオレはなんにもできてねぇ。今日もまた十代目の家から帰るだけで、アイツともほとんど会っちゃいねぇし……
「………ん?」
何気なく公園を見たら、ベンチに座ってる人影。
久しぶりに見かけた姿に嬉しくなって思わず近づいていった。
「何してんだよ?」
『あ………獄寺』
ぼんやり見上げた瞳は虚ろで、なんか落ち込んでる気がする。
「なんだよ、喧嘩でもしたのかよ?」
『……………』
「たった1ヶ月で破局か?」
少しからかうつもりで言った言葉に、ぼろぼろと涙を流しはじめて焦った。
あたふたって言葉が似合うくらいに。
「な、なんだよ!?どうした!?」
『ぅ……、っ………』
「……………」
泣いてる姿がオレ以外の男のことを想って泣いてると思うと、イラついたってのもあるが、それ以上に抱き寄せてやりたくて。
ただ、それだけでアイツの頭を自分の胸に押し付けた。
「………落ち着いたか?」
『………うん』
一頻り泣いて落ち着いたのか、やっと顔を上げた目が赤い。
「どうしたんだよ……」
『……………』
「言いたくないならいいけどよ……」
ホントはよくねぇけど、コイツの口から他の男のこと聞くのはそれはそれでムカつく。
「1人で溜め込むなよ……」
『…………ぃ』
「は?」
『獄寺気持ち悪い』
「はぁっ!?」
『獄寺が励ますとか気持ち悪い』
「お、おまっ……人がせっかく励ましてやってんのに気持ち悪いっ!?」
『だって気持ち悪いし、なんかムカつく』
「お前なぁっ!!」
相変わらずのやり取りをしてる内に、気がついたらアイツは笑ってて、まぁなんというか安心はするんだけど……オレの腕の中にいるってことを忘れてねぇか?
今の今までオレも忘れてて、今になって自分がしたことに赤くなってると、アイツはオレの心境を知らずに胸に顔を当てた。
『あたし、人生の選択間違えた……』
「は……?」
その言葉の意味を理解するのは数日後で、理解したってことはまぁ、その……あれだ。
付き合うことになったというか……
とりあえず、そろそろヤっちまうかって考え…」
「リボーンさんっ何オレの声で変なこと言ってんスか!?」
「お前の心の声を代弁してるだけだぞ」
「思ってません!!」
「あぁ、このマイクはジャンニーニに作らせていろんな奴の声が出せるんだぞ」
「そんなプチ情報もいらないです!!つーかなんで知ってんすか!?」
「オレに隠し事なんかできないぞ、獄寺」
「リボーンさんっ!!」
「なんか獄寺くんって、遊ばれてるよね……」
「あぁ………」
とりあえず、これからもアイツらで遊べるな。
ダイナマイト点火!!
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