kissよりも言葉をください

□参話
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「今・・なんて・・?!!」



『だから・・捨てられたって言ったの。』



「何でだよ。」



『さぁーね。



きっと、出来無い子だったからでしょう?



何させてもダメ。



何言ってもだめ。



・・・本当に・・・使えない子・・・ね。



どうして、貴方なんて生んだのかしら?



どうして生まれてなんて来たのかしら?



こんな事なら最初から捨てればよかった。



殺せばよかった。



流産してればよかった。

そう言ったんだよ。

そう言って・・・私は捨てられた。』





その言葉を一つ一つ恋は日番谷に話していった。



そして日番谷は自分の言った事を思い出した。



過去に日番谷も恋に同じような事を言って、泣かせていたのだ。



それに気付いた・・・。



『私、本当に馬鹿で、ナにやっても出来無い、出来損ないで。



いつも親に迷惑かけて、だから、あたし、きっとここに居ても意味がないって思って、



両親に言ったの。



私、死神になるって。



そしたらね、



なれるわけないじゃない。。って・・・言われちゃったんだ・・・。



もしなれたとしても、迷惑をかけるだけだって・・・。


でも
それでも、私は死神になった。



親から離れたいがゆえに私は・・・
けどその考えは無用だった。
いずれ両親も私を捨てるはずだったから・・。』


[(だから・・。

この子は・・・



この世の儚さと、辛さと、軽蔑されながら。



だから、総隊長は、あんなにも。)]



外でその話を聞いていた松本と傍に居て泣きじゃくる恋を癒す日番谷。



どこも似ていないようで、彼らはどこかが似ている。



どこか決定的に似ているところがあるゆえにこの恋をほおっておけないというのが



一つは事実。



本当の事。



『私ね・・・。
私・・・、怖かった。



本当は、怖かった。



大丈夫って言い聞かせていたのに、でも・・・ダメだった。



こんな私だから、皆に心配かけて、皆離れていくんだってわかってる・・・。

わかってるけどね・・・



「離れない。」



『・・・?!』



「俺は、離れない。



ずっと・・ずっと傍に居る。



松本・・・お前もそうだろう?」



[いつから気付いて・・・・]


「ばーか・・最初からだ。」



[そうですか。]



『乱菊さん。



どうして。



大丈夫よ。』



[私たちはね、離れないから。



あんた一人置いて、どこかにいくわけないじゃない。



ごめんね。

 

ありがとう。



でも・・・サヨナラしなくちゃ・・・。』



[どうして?]



『私ね、やっぱりここにいるの罰当たりな気がするんだ。



私がこんなところに居ちゃいけない。


[それは・・『だって・・・迷惑かけちゃうんだもの。



皆の足を引っ張るわけには行かないでしょう?』





「ばーかいっつもひっぱってんじゃねェか。」



『うんそうだね。

出しかにそうかもしれない・・・
でも・・・。

でもね。』



[(どうして、この子はコンナニモ一人で耐えようとするの?



こんな小さな体で、もうぼろぼろのはずなのに。



どこまで無理すれば気がすむの?



どこまで、この子を傷付けるの?



あなた方はどうしたいの?






感情を出せるようになったこの子を又、あのときのように一人ぼっちにさせるの?



あなた方は、どうして・・・・どうして恋をそんなに嫌うの?)]



感情を押し殺して育ってきたせいか、恋は、涙が出るわけも、声を出す事も泣くただ、涙だけが



その、美しい顔をなぞるように頬をつたい落ちるだけしか出来なくて。



又、昔のように戻るかもしれないという不安に駆らせられていた。



唯一彼女が一度だけ見せた不安と怖さの顔だけが頭によぎる。



彼女は、笑う事も泣ければ、色々な感情を知らない。



だから、乱菊たちは、表に出す事を教えていた。



又、恋自身も望んでいた。



自分の気持ちを素直に出せたらどんなにも良い事かと。



でも・・又やっとそこまで開いていた扉が、閉まりつつある。



恋がどうなるのか・・まだ誰にも分からない

わからないかもしれない・・・。

けど・・

でも、それでも私達は負けない。
 

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