妖精の譜歌〜The ABYSS×elfen lied〜

□Episode,8【ようこそバチカルへ・後編】
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城の外は寒い。
早朝特有の気温の低さに加えて、天空高くに設けられたこの場所が原因だろう。
パジャマ一枚では寒さは凌げなかった。


「風が強いなあ……」


安眠帽子が飛ばされないように手で支えると、上流階級地区を下りた。

この街は縦長だ。
一番下に住まう貧乏人から王族が鎮座する最上階まで、この街は全体が階級のピラミッドを表しているのだ。


と、ガイとジェイドが言っていたのを聞いていた。


何の用があって早朝からふらふら出歩いているのか。
しいて言えば散歩。


「あ、イオンだ……」


向こうでイオンが兵士と話し込んでいた。
きっとダアトのお迎えだろうと、カマラは軽く考えていた。
それよりも、あの生意気な導師守護役がいなくて良かったとほっとするのだ。


「私……何してるんだろう」


独り言。
だけど、誰か答えてほしかった。
そんな独り言だ。

母の仇も討てずまま、殺される気か。
ジェイドは自分をマルクトの保護下に置くと言ってくれたが、はたしてそれは真実だろうか?

疑わしい事この上ない。
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