妖精の譜歌〜The ABYSS×elfen lied〜
□Episode,0【郷里】
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件(くだん)のライガの道案内により、少女と兄はようやく母との再会を果たした。
艶やかな毛並みと立派なたてがみを生やした巨躯はまさに女王に出で立ち。
その威厳も去ることながら、やはり王者の座に鎮座する身にのみ与えられた称号であろう。
「ママ、久しぶりだね! 会いたかったよ」
嬉しそうに凶刃な魔物に抱きつく少女を、世界の人々はなんと思うだろうか。
そんなもの眼中にないだろう少女の甘えように、ライガクイーンは喉を鳴らす。
(嗚呼、会いたかったよ……私の可愛い娘。怪我なんてしてないかいつも心配で肝を冷やしていたんだよ)
「ママこそ怪我してないの? 火傷とか大丈夫? みんなは無事だよね!? 私、お家が燃えてるって知って、とっっっても心配したんだよ!!」
涙腺の緩みかけた瞳で見上げ、少女は訴えかけた。
ライガクイーンが大きく吼えると、岩陰から数十に及ぶライガの顔が姿を見せる。
「みんな!!」
妹――あるいは姉――の再会の喜びを分かち合うように、ライガたちは彼女に歩み寄った。
彼らに会えて、そして無事であったことを喜んで、少女はわんわんと泣いた。
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