チェシャ猫と愛に生きるトロイメライ【2】
□act16 ハツネツ
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マシロ=クルスは心を病んでいる。
それは今に始まったことではないし、更に言うと【皆様】に向けて明文化する必要もない情報だが、心の病の他にこれといって大きな病を罹ったことはなかった。
×にたがりの気がある彼女にとってそれは幸か不幸か、身体の方は優良健康体だったのである。
どうも、皆さん。来栖真白です。
最近、巷で『君視点で話しが進むようになったね』と言われるようになったような、ならないような、そんな感じのこの物語の主役です。
メタなことを、と思っていらっしゃる方もいるでしょうが、後書きに書くような無駄話や談笑もこっちでやればいいんじゃないかという意思が私に語りかけてきまして……。
私の名前の3番と4番ってあまり使われないよね(笑)的な言わなくていいような自虐ネタも、ここで言ってみたらいいんじゃないかと言うことらしいです。
どうして私がここまでの謎電波をキャッチしなければいけないのかと嘆きながらも、誰かが代役を買ってくれないかしらと他力本願な次第でございます。
つまり、何が言いたいのかと申しますと……
どうやら私は風邪をこじらせてしまったみたいなんです。
「コホン、コホン……ケホッ」
まずいなぁ……具合が悪いって自覚したらますます悪化した気がする。
お巡りさんに話を聞いてもらうのが結構疲れたみたいで、ボリスに少し休むと言って夕方に眠ったら朝になっていた。
目覚めた時に感じていた喉のつっかえるような違和感も今ははっきりと痛むし、心なしかほっぺも熱い気がする。
頭には鈍い痛みが波紋のように広がっていた。
憂鬱にもなるが唯一の安らぎといえば氷枕とおでこに乗っかった水袋の存在だ。
おふとんの中は熱いけど、ひんやりした心地良さに目を細める。
私の口からどちらともつかない呼吸が漏れ出た。
「マシロ……? 起きてる? 入るよ」
引き戸が引かれ、ボリスが部屋の中に入ってきた。
揺れる視界の先でおぼろげにボリスを捉える。
今、何時になったんだろう……。