チェシャ猫と愛に生きるトロイメライ【2】
□act10 ヒトリノ
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数時間ぶりに触れた外の空気に安堵する。
なんだかどっと疲れた。
(俺って情けない……)
身の毛もよだつ展開。
解決!……と見せかけて考察の余地があるすっきりしないラスト。
不気味な演出にぶるりと震える身体に日射が刺さる。
「楽しかったね!」
なんでこの子こんなにツヤツヤしてんだ……。
いつも血色が悪いくらいの真っ白な顔にはなぜだか陶器めいた光沢がある。
つるんとしていた。
「そーだね……うん……」
俺はなんつーかいっぱい叫びまくったおかげでカタルシスみたいなものを感じたよ。充足感すら感じた。
げっそり肩を落とす俺とは対照的にマシロは元気そうだ。
クスクス笑って俺をからかってくる。
「びびってんの可愛かったよー?」
本当に情けないよな。
ちょっとイタズラして泣かせようとしたら逆に泣きつくなんてさ。
脚本家頭おかしいって。
「あーあ。気分一新したいっ!」
背中をのび〜っと伸ばして、それから座りっぱなしだった身体をほぐしてゆく。
マシロは少し考えてからパンフレットを広げた。
「じゃあ今度はここに行ってみる?」
指先でとんとん叩く場所に俺は首を傾けた。
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