妖精の譜歌〜The ABYSS×elfen lied〜

□Episode,1【狼少女の二面性】
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(よく来たねえ、あんたたち……さあ、今日のご馳走を見せて貰おうじゃないか)

優しかった笑みに溢れていたライガクイーンの態度が、それの姿を捉えたとき、畏怖する魔物の風格を醸し出す。
それは何かの動物――大きな耳に二足で歩き回る小動物。
ダアトでは聖獣チーグルと崇められている彼らだが、
自然界において、真っ先にエサにされるタイプだ。
つぶらで大きな眼は鮮やかな恐怖に彩っていた。

(なんだい、これは! この程度で私たちのお腹が満たされると思っているのかい?)

(みゅ、みゅー! ご、ごめんなさいですの!!)

(ハッ! 役に立たないねえ……いっそおまえ達を喰らえば、腹が膨れそうじゃないか)

(ひっ……!)

女王の機嫌を取ることは彼らに荷は重すぎたようだ。
だからといってこの哀れな小動物を救ってやろうとはカマラは思わない。
なぜなら彼女は慈悲深い聖人でもなければ、危機に陥れた奴を許すと言う寛大な心までは持っていなかったからだ。

「そう……君たちが、私たちのお家をダメにしちゃったんだね……」





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