アナザーワールド
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わりと平和なとある大陸の空のもと、人だかりが出来ていた。

この暑い中、デコをピッタリとくっつけ睨み合う男二人。間に挟まれ(一応止めに来た)至極迷惑極まりない顔をしている男が一人。


人だかりは、それらから一定の距離を保ちながら、興味津々且つ何処か恐れを帯びた目で見ていた。


凌「いい加減にしな甘寧ー」

甘「俺はコイツと決着つけなきゃなんねぇんだ!漢として!族として!!」

凌「族やめたんじゃねぇのかよ」

甘「なんつうか、コイツから俺と同じ匂いがすんだよ…血が騒ぐぜぇ」

バダ「グダグダ言ってんじゃねぇ。どっちが鉢巻似合う最強の男か白黒ハッキリ着けようや」

凌「ああもうコイツらの相手すんのアホらし…(俺非番なのに)…あ。ヤベ!」

凌統は甘寧の脇腹を肘で突っつき視線を前方へと促す。

甘「んだよ…っげ!陸遜!!」



どーん。

前方に陸遜を発見した甘寧、凌統は揃って顔を引きつらせた。
彼は効果音とともにニコリと笑っているものの只ならぬオーラを放っていたのだ。

不穏な空気に野次馬が一挙、蜘蛛の子を散らすが如く離散した。
あるものは物陰に隠れ、またあるものは屋内に避難しつつこっそりとこの騒ぎの行く末を見守っていた。
凄まじい野次馬根性である。それほど娯楽に飢えているのか。
否、皆一様に水のはった桶を用意していた。此れから起こるであろう惨事に備えて…


凌「甘寧あんたなんかした?陸遜滅茶滅茶キレてんじゃん」

甘「あー…ダメだ、思い当たることが多すぎて分かんねぇや…」

凌統はツンツン立ってる頭をぼりぼり掻く甘寧に、極々冷ややかな視線を送る。

―もう、コイツと関わるのやめっかな…俺疲れた

そう、目が訴えていた。

バダ「誰だテメェ」

バーダックは陸遜の恐ろしさを知らない。
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