moso家族

□お隣さんと昼下がり
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最近物騒だからよ
直ぐに玄関開けんなよ

わーってるって
妙なヤツ来たらしばき倒して警察につき出してやるっつうの
家のことは俺にまかせてとっとと仕事行きな

ヘイヘイ、んじゃー行ってくんぜ
『いってらっしゃいアナタ』のチューは?

しねぇっつの!

してくれるまで行かねぇ

………もー馬鹿

……!っしゃ、行ってきまー!!


朝そんな新婚さんも真っ青なやり取りがあった日の事。

ピーンポーン
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピポピポ、


「だぁぁぁぁうぜぇ!どちら様だコンチクショウ!!」

ピーンポーン

ガチャ。
旦那の言いつけも苛立ちのため吹っ飛びいとも簡単にドアを開けた凌統。
そこに見たものは、


「ふ、危機管理がなってないな凌公積。もし不埒な輩だったらどうする」

愉快なお隣さんだった。
どういう訳か曹丕は凌統を気に入っていて毎日のように凌統を訪ねてくる。

「あんまりしつこいとお巡りさん呼ぶぞアンタ。ていうかさ名前フルで呼ぶの止めてくんない?」
「では公積と」
「…勝手にすれば。今日は何の用」

早くも相手にするのが面倒になった凌統は投げやりに言いつつ、ふと鼻先を掠めたいい匂い。
はた迷惑な来訪者に興味を惹かれた。

「パイを焼いてみた。食すがいい」
「アンタがじゃなくてあの顔色悪い人が、焼いたんでしょ。あの人の甘味加減好きなんだよね」

顔色悪い、とは屋敷で雇われている司馬懿という使用人だ。凌統も何度かゴミ出しの日に会ったことがあるが名前までは知らなかった。

「フン、これしか取り柄がないのだがな。上がるぞ」
「ハイハイどーぞ。茶くらいなら出してやってもいいよ」

好物を餌にされてさっきの不機嫌はどこへやら。
嬉々として部屋へ迎え入れる。
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