moso家族

□バイオレンス妻と釣果良好旦那
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お帰りなさいませぇ旦那様ぁ!!

凌統は近所迷惑上等、とばかりに時間も声も憚らず。
甘寧が帰宅し玄関の戸を開けると同時に飛び蹴りで迎えた。

「おう、たでー、ま゛っ」

愛妻の熱烈な出迎えに確実にクリティカルヒットした甘寧は渋面を作りながらも実は見かけほどダメージを受けていない。
こんなことは日常茶飯事だった。馴れとは恐ろしいものである。

「…お前よぉ、旦那の帰りが遅くて寂しかったからってちょいと熱烈すぎねぇか?つうかそういう台詞はメイド服込みだろ」

「なに?打ち所悪くて脳味噌イカれたって?大丈夫だもとからイっちゃってるから心配すんな。それより今まで何してたか洗いざらい吐けってねぇ」

今日の凌統は随分手厳しい。
時刻は9時を回っていた。彼の経験に依るとこの時間まで電話の一本も無いときはパチンコで敗けが込んでるかぼろ勝ちしてるかの二つに一つしかなかった。

勝ちなら上前を跳ねるだけ
負けなら連絡もなかったのを理由にぶちのめすだけ

凌統の対応も二つに一つ

だったのだが―
この夜は違った。

「パチンコはしてねえ」
「…」

凌統の疑いの眼差しにもめげず
切々と訴える甘寧。

「本当だって。昼休みに釣りして遊んでたらデッケェ鯉釣っちまって捌いて他の奴らに配ってたら」

80センチオーバーだったんだぜ、と息巻く甘寧をよそにクンクンと胸板辺りを匂ってみると、何時ものタバコに混じって、たしかに特有の匂いがする。

「ホントだ泥臭ぇ」
「ったくよー、俺冤罪で飛び蹴り食らったのかよー」

形勢逆転。立場が変わった途端、甘寧はここぞとばかりに嫌味を吐く。

「ごめんて」
「誠意が感じられねぇな」
「…アンタの日頃の行いが悪いのが悪い」
「責任転換すんなコラ」
「えっとー…あ、ビール飲む?それとも焼酎?」
「話そらすんじゃねぇ」
「ぅー…Σアンタ!泥だらけじゃないの!!」

早く気づけ。
作業服の裾まで泥だらけだった甘寧はこっそり呟いた。

「現場すっげヌカるんでてよ」
「さっさと脱げ」
「…寝るまで待てねぇって?そんな溜まってんのかよ、夕べもあんだけ可愛がってやったっつうのにぃ〜淫乱v興奮すんなおい」
「違う!汚ねぇからここで脱いでさっさと風呂行けっつーの!!」
当然一緒に入るよな?
「嫌。」
「二人一緒なら湯だってちょっとですむだろ」
「ぅ…………入る。」

節約のため何時もシャワー だけで済ませていた凌統には余りにも魅惑な提案だった。
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