頂き物

□いらない好意
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「あれ?凌統殿と甘寧殿がいらっしゃいませんが…」
「あぁ、凌統が風邪をひいたそうでな。先程甘寧が見舞いに行ったぞ。あの二人があんあに仲良くなるとはな」
良いコトだ、と明るく笑う呂蒙の隣で陸遜が静かに両手を合わせた。

(凌統殿、お気の毒です)







「凌ー統ー!」
「うるさいねぇ。病人を労れっての」
勢いよく入って来た甘寧を見て、凌統は心底嫌な顔をした。
「そう怒んなよ」
「アンタのせいだっつの…で、何しに来たわけ?」
「そりゃ決まってんだろ?お前を看病しに…」
「帰れ、今すぐ」
「そりゃねぇぜ」
ドカッと椅子に腰をおろした甘寧は、凌統の額に手をあてた。
「うおっ!あっちぃなぁ」
「熱あんだから当たり前だって…」

…………。




「ちょっとちょっと甘寧さんよぉ。アンタ何やっちゃってんの?」
「あ?熱いから脱いだ方がいいだろ?」
甘寧に中途半端に脱がされた夜着を直しながら、凌統はため息をついた。
「そりゃ額は熱いさ。だけど俺は寒いんだよっ!」
「??なんでだ?」
「なんでって…アンタ風邪ひいたコト無いわけ?」
「おう」
「はぁー、なんかもういいや」
力なく寝台に倒れこむ凌統。
「おい、どうした?」
「疲れた」
「そりゃいけねぇ。きちんと寝てろや」
疲れさせた本人が何を言うか、という言葉を飲み込む。
「そうさせて貰うよ」
「おう」





…………………。





「あのさぁ、なんでアンタも一緒に寝てるわけ?」
「寒いんならあっためてやろうかと思ってよ」
ギュッと抱きしめられる。

初めこそ鬱陶しいと思っていたが、甘寧の体温の高さが気持ち良く、次第にうとうとしてきた。



ま、コイツはコイツなりに心配して…くれてる、から…ね。



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