頂き物

□狩場
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「凌統ー!」
チリンチリンと鈴を鳴らしながら、城内をドカドカと歩く男。
名を甘寧、字を興覇という。
彼は最愛の恋人を探していた。
「チッ、何処行ったんだあの野郎。しょーがねぇな…」



孫呉に新しく造られた大浴場。
そこに凌統はいた。甘寧が探しても見つからないはずである。
今は正午。普通風呂は夜に入るものと決まっている。だが凌統は、わざと誰もいないこの時間を狙って来た。

「流石に誰もいないねぇ♪」
いつもの皮肉を混じりの笑みではなく、心からの嬉しそうな笑みを浮かべる凌統。
石鹸で身体を洗い始めた時、
「俺が洗ってやるよ」
という低い声が聞こえて…。


凌統は幻聴であることを祈りながら振り向いた。







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