頂き物

□当たり前
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相手は戦上手だった。
将の動きを読み、次の一手を予測していた。
まるで碁のようなこの戦で、自分の好き勝手に暴れまわっていた甘寧はよほど相手側にしてみれば目障りだったんだろう。
集中して狙われ、大勢の伏兵に狙われた。
「っ!?甘寧っ!!」
俺が見つけたときにはもう、甘寧は全身に傷を負い、立っているのが不思議な位だった。
アイツは駆け寄る俺を見てニヤリと笑って、これが最後だと言わんばかりに武器を振り回し、敵を数人なぎ払った。
そして、甘寧の身体はゆっくりと血を吸って紅くなった地面に倒れる。
「いやだぁぁぁぁっ!!」

嫌だ。

大切な人がいなくなるのは、

コレ以上、耐えられない。


必死だった。
甘寧にとどめを刺そうとしている敵を殺し、意識のない身体を抱えた。身長は無いくせに、筋肉がついているせいでかなり重かった。
「死んだら、ゆるさないっつーの」
いつもなら返ってくる声も、今はない。
泣きそうになりながら、味方のいる方に走った。
「凌統殿!?」
途中、陸遜に会ってそこから・・・どうしたっけ?
あんまり覚えてないけれど、軍医が甘寧の様態を見て険しい顔をしながらも、
「もう大丈夫です。ただ、甘将軍には安静にしていただかないと・・・」
そういったのは覚えてる。
俺は柄にも無く泣いて・・・
心底安心して・・・
それから、どうしたっけ?




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