一年計画

□高誕
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「なんだ、遅かったではないか」




目の前の状況を飲み込むことができず、坂田銀時はその場に立ちつくしていた。









「まったく、大方どこかで寄り道でもしていたのだろう。貴様、帰るまでが遠足だと習わなかったのか!」


「……………」


「まぁよい。せっかく来たんだ、茶でも出そう。といっても、不味い茶しかないがなハッハッハ」


「……………」


「どうした遠慮はいらんぞ、どうせ不味い茶しかないがなハッハッハ」


「……っていうか、ここ俺ん家だからァァア!!!!」


「フゴォッ!」



ソファーでくつろいでいた桂の顔面に、銀時のとびげりが綺麗にきまった。










「久しぶりだな銀時」


「久しぶりじゃねーよ!何してんだこんなところで!」


「坂本に呼ばれたのでな」


「テメーら何勝手に人ん家を集合場所にしてんだよ!こんなもん不法侵入以外の何物でもねーよッ!」


「というか、先日は俺の誕生日を祝ってくれてどうもありがとう」


「というか、近い。顔が。あと人の話を聞け」


「というか、貴様あれはどういうことだ。あの後大変だったんだぞ、高杉が…」


「いやーすまんすまん。遅くなったぜよ」



ガラガラとドアが開き、諸悪の根源である坂本が入ってきた。










「何ナチュラルに入ってきてんだよ」


「みんな集まっとるのー」


「何度も言うけど、ここ俺ん家だから。渋谷のハチ公前とかじゃないから」


「何を言っとるんじゃー金時ー。そんなの知っとるきにー」



アッハッハーという笑い声が部屋中に響き渡る。











「久しぶりだな坂本。まぁ座れ」


ゴンッ!

またしても銀時の拳が振り落とされた。





「アッハッハー金時もヅラも元気そうで何よりじゃー」







そんな坂本にハァ、と一つ溜め息を吐き、銀時は言葉を繋げた。













「坂本よぉ…何しに来たのかなんて聞かなくてもわかるけどな」




時期が時期だ、嫌でも想像がつく。
おまけにこの顔ぶれ。










「今回は高杉を祝おうってか?」


「その通りじゃ!さすが金時、話が早いのー」


「…悪ィけど、俺たちはもうこんな仲良しごっこができるような仲じゃねーんだよ」


「あっはっは!おんしらが仲良くしてる所なんて見たことないぜよー」


「真面目に聞けって!」




坂本の笑いがピタリと止まる。


銀時はもう一度溜め息を吐き、くしゃりと頭を掻いて続けた。
















「俺たちが交わすのは挨拶でも酒でもねぇ……












剣なんだよ」
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