このまま飛び降りようかとも思ったが、以外に速く走る車から飛び降りるのは自殺行為だと悟ると、雲雀はシートに深く身を沈め、シートベルトを締めた。 「ちゃんと運転できるだろ?」 スピードは出ているが、交通規則は守っていると言う、何とも外人らしい言い方に苦笑はまじえないが、雲雀は事故る事なく家へ帰れるのなら、もうどうでもいいかと半ば諦めた。 「きょーや、」 あのさ。と、雲雀の返事がないのはいつもの事と、ディーノが話し掛ける。 それに雲雀は意識だけを向け、視線は流れる窓の景色を追っていると、 「どんな形でもさ、一回ドライブデートしてみたかったんだよ。きょーやと二人っきりでさ」 そんな事を言われ、雲雀は思わず眉間に皺を寄せた。 ドライブデート? 自分と? しかもこれが? 何ともおめでたい頭をしていると雲雀はほとほと呆れながら、どうしてそこまで自分に固執してくるのかと興味深そうにディーノを見た。 「正気?」 今まで何度となく思った事を口にすれば、ディーノは苦笑して、 「ファミリーときょーやに関係する事だったら、俺は正気じゃなくなるな」 そんな事を言う。 自分とファミリーを同じ秤に掛けるところから既に正気じゃないとわからないのだろうかと雲雀は思いながら、 「ドライブデートなんて。馬鹿じゃないの」 「きょーやは嫌?」 「取り敢えずもうすぐ着くから降ろして」 「早っ!え・もうちょっと楽しませてくれよ!」 「何か言った?」 どんな形でもと最初に言ったのはそっちじゃないかと雲雀が言えば、 「よし。じゃあこれから毎日俺が送り迎えしてやるよ」 それならどうだと言うディーノに、やっぱりこの人馬鹿だと雲雀は思うと、やれるものならやればいいと投げやりに言う。 どうせディーノをまく事簡単だし、自分の送り迎えをディーノ一人を雲雀の送り迎えにやらせる筈がないのだからと高を括った雲雀に、見てろよ。とディーノが笑ったのだった。 【終】 ドライブデートと言う事で、雲雀が素直にするはずないと思い、こうなりました 私的ドライブデートですが、こんななってすみませ… どうぞお受け取り下さいませ |