頂き・捧げ文

□落ち込むより先に
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数日前から、イギリスさんが家に遊びに来ていた。

何のお構いも出来ずにいたが、私の家が気に入っているのか、そこそこ楽しそうに(時々変なことを言ったり、何かに話しかけてたりとか)していたイギリスさん。

それが、今は私の部屋の隅で膝を抱えて座っていた。

(一体、どうしたのだろうか…?)

あまりにも気になったので、話しかけてみる。

「イギリスさん、何故そんな隅の方にいるんですか?」

「……日本が、」

少し間をあけて何かを言いかけ、途中で止めたイギリスさん。

「私?私がどうかしましたか?」

「…………」

もう一度聞いてみると、イギリスさんはすっかり黙ってしまった。

あぁもう、一体どうしたというのだろうか。

とりあえず、立ちっぱなしは老体に障るので、イギリスさんに近づく。

「…お隣、宜しいですか?」

「……だめ」

イギリスさんの隣に腰掛けようとしたら、断られてしまった。

「じゃあ、此方に座りますね」

仕方ないので、少し離れた位置に腰掛ける。

「…何かありましたか?」

「…別に」

ゆっくりと子供に話しかけるように優しく言うと、ツンと子供のようにそっぽを向かれる。

「では、どうしてそんな所で拗ねてらっしゃるんですか?」

「なッ…拗ねてなんかないっ!」

私がそうやって聞けば、顔を真っ赤にして否定してくるイギリスさん。

「おや、拗ねているように見えたんですけど…」

「違う!俺はただ…」

「ただ?」

「…………」

「言いたい事は、はっきり言わないと伝わりませんよ?」

また黙ってしまったイギリスさんに、意地悪く告げる。

すると、ポツリポツリと小さな声で話し始めた。

「……アメリカが」

「アメリカさん?」

「アメリカが、"日本はイギリスと遊びで付き合ってる"って」

「私が、遊びで?」

コクッ

「そんな筈ないじゃないですか!私はイギリスさんが好きだからお付き合いしてるんです」

小さく頷くイギリスさんを思わず抱きしめて、叫ぶように言う。

「…本当に?」

「私の言葉が信じられませんか?」

「…………」

「イギリスさんは、私よりアメリカさんを信じるんですね…」

「そんな事!」

悲しげに顔を下げそう言うと、イギリスさんが焦ったように言う。

「では、信じて下さいますか?」

「……信じる」

にこっ

「…良かったです」

優しく微笑むと、イギリスさんも照れたように笑ってくれた。

「では、嘘つきなアメリカさんにお仕置きをしに行きましょう」

「おう」



おまけ。

「アメリカさん、よくも嘘を吐いてくれましたね!」

「俺とした事が、テメーの嘘信じちまったじゃねーか!」

「何だいイギリス。あんなのジョークに決まってるじゃないか☆って、ぎゃああぁぁ…!」


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