愛の囁き

□鈍感でも
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    ―鈍感でも―


「神田ぁ〜!」



俺の名前を呼びながら白い天使が俺に向かって走って来た。



最終的には俺に抱きつき俺はそれを受け止める。


これが朝の日課になった事はなんとも嬉しい。


「神田vvVおはようございます」

「…ぁあ」


可愛いなこんちくしょー


俺の胸に顔を埋めたまま俺を見上げる白い天使は犯罪級な笑顔で俺の名前を呼ぶ。



「鍛錬は終わったんですかぁ?」

「…ぁあ」

「なら一緒に食堂に行きましょ?僕、まだなんですよ」

「いいぜ」

「やったvvV」


朝から誘われ上機嫌な俺

だが、これが絶対の距離
これより先に進む事は
まず無いだろう


こいつは
俺の事を家族か
兄の様に思ってる
だから軽くスキンシップが出来るのだろう


この関係は壊せない
例え俺が
こいつを好きでも
この関係が壊れる事が怖い俺にはどうしようも出来ない



そんな事を考えつつ、俺は白い天使と歩幅を合わせ食堂へと向かう。








あれから俺は白い天使と別れ、書室で本を読んでいた。

白い天使はあの科学馬鹿に呼ばれて司令室に向かってしまった。

その怒りを納め様と書室に来たって訳だ。


「…ッチ」

苛々する。
あの科学馬鹿さえ居なければ、俺は白い天使と間接キスが出来たと言うのに…。




いつもの様に莫大な食事をとる白い天使を見ていると勘違いしたのか、食べていたドリアをスプーンに救い俺の前に出した。


「食べますか?」


と、首を傾げる天使に俺は理性の切れ目を感じてしまう。


こんな事は二度と味わえないと思い、天使が差し出したものを口にしようとした瞬間!

…科学馬鹿の下僕が来た訳だ。

あと1秒でも遅かったら間接キスは成功したと言うのに。

まぁ…あいつらは後で絞め上げるとして…
天使は元気な返事をして

「神田。また後で」


と、言い残し俺の前から去ってしまった。


「…くそっ」


まだ怒りが納まらねぇ。…殺るしかないか。


 
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