大河 短編
□隙間無く、抱き合って
1ページ/1ページ
幸せと寂しさって常に隣り合わせであるものなんだ。
大河を好きになって、知った。
一緒に居る幸せな時間。
ばいばいした後の寂しさ。
どっちも、大河が好きだから存在する感情。
幸せな時間が終わらなければ、ずっとずっと一緒に居られたら、それに越したことはないのだけれど。
「…帰りたくないな」
「そうもいかないっしょ」
「わかってるけど…」
俯いた私を引き寄せて、強く抱き締める大河は、私の頭を撫でながら「充電」と言った。
馬鹿。
こんなに抱き締めてもらっても、手を振って別れた後振り向いてしまったら、また抱き締めてもらいたくなるのよ。
でも、寂しいのはそれだけ好きだから。
それを知っているから、寂しさを募らせた分また会った時は、
「じゃ、またね」
隙間無く、幸せを感じさせて。
本当は離れたくないけれど。
END
2007/8/19
春瀬琴音
一覧へ戻る