大河 短編
□でも、言葉で聞きたい
1ページ/1ページ
「大河、私のこと本当に好き?」
「…は?何言ってんの?」
自分に自信がなくなったのは、付き合い始めてから幾日も経っていないころ。
私の告白に「いいよ」とただ一言だけ返した大河は、何も言ってくれないし何もしてこない。
デートがしたいとかキスをして欲しいとか、そんなスキンシップを求めているわけではない。
ただ、恋愛ってギブアンドテイクじゃないの?と言いたいだけ。
OKの返事をしたくせに何もくれないのなら、片思いの方がずっと楽。
好きだから付き合ってと言ったのは確かに私だけど、面倒なら別れた方が大河のためだ。
「…別れる?」
「…は?何で」
それは「別れる必要なんてないでしょ」という意味なら嬉しい。
でも、言葉で聞きたい。
「…私のこと、好き?」
「好きに決まってんでしょ」
「別れる?」と言って窮地に追い込まなければ言葉にしない。
でも、これでわかった気がする。
私が思っているより、大河は私を好きでいてくれていると。
END
2007/04/23
春瀬琴音
一覧へ戻る