冬獅郎 短編

□子どもじゃない
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「隊長!!……って、煙草じゃないか」
「あ?何言ってんだお前。」


小さくて可愛いうちの隊長が、あろうことか煙草を咥えているのかと思った。
とうとうグレたか、と感じたがそうではなく、よく見たら棒付きの飴ちゃんだ。


「どうしたんですか、それ」
「いや…市丸から貰ったんだよ」


似合いすぎる棒付きの飴を口の中で転がしている。
顔を出している棒がくるくる回って、隊長の可愛さは三割増し。


どうせ市丸隊長にからかわれながら貰ったのだろう。
「子ども扱いすんじゃねぇ」と言いながらも、しっかり受け取った日番谷隊長の姿が目に浮かぶ。


…グッジョブ市丸隊長。


「…欲しかったか…?」
「……は?」


ずっと見ていたから勘違いしたのだろう。
悪いことをしたという顔の隊長。


「本当はお前の分と二つ貰ったんだけど…食っちまった。」
「そうなんですか?残念」
「…やっぱり欲しかったのか?」
「まぁ…市丸隊長からのせっかくのご好意ですから」
「…………」


少しからかうように言った私に、ちょいちょいと手招きをする日番谷隊長。


従って机の前まで行くと、ちゅと音を立てて飴を口から出した。


「…たい…」
「…………」
「…!」
「お前も、俺を餓鬼扱いするな」
「…す…いません…」


隊長の飴が私の口の中に押し込められた。
手を伸ばして飴を突っ込んできた隊長はしてやったりな顔。


いつまでも可愛い可愛いと言っていると、痛い目を見る。
知らぬ間にこんなことまで覚えてた隊長は、少しずつ男らしくなっていくのだ。


そんな一面に落とされてしまうのも、きっと時間の問題。


「どうした?顔赤いぞ」
「………。…気にせず仕事してください。」






END


車を運転していたら前の車に乗っていた子どもが、舐めてたチュッパをお母さんに渡していたのを見て思いついたネタ。
2007/02/19
春瀬琴音


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