過去拍手

□バレンタイン
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2月14日。バレンタインデー。
気持ちを込めたチョコレートと共に想いを伝える日。
今まで秘めていた想いを伝える勇気を、少しだけもらえる日。


私は朝方までチョコレートを作っていた。
何度も何度も失敗してしまったけど…ようやく完成した。
鋼の錬金術師、エドワード・エルリックの為に。


結局一睡もできないまま司令部へと向かう。
まっすぐ大佐の執務室の扉を開くと、彼が一人ソファに座っていた。


「…エド…?」
「おう。大佐どっか行っちまってさ。」
「じゃあ私探してくる」
「待てよ。」


二人で部屋にいるなんて恥ずかしい。すぐにまた扉を開けたが、呼び止められ振り向く。
エドはニヤニヤ笑っていた。

「何…?」
「今日何の日か知ってる?オレに用あんじゃない?」
「…なんで…」


相変わらず笑っている。
ちょっとだけ悔しくなって鞄の中からチョコレートを取り出し、差し出した。


「はい…」
「サンキュー!」
「あ…あとっ」
「ん?」


既にラッピングを解き始めている。あんなに時間かかったのに。
でも…今日はこれだけのためにチョコレートを作ったんじゃない。

「私…エドの事…ずっと前から好き…」
「知ってるよ」
「…え?」


エドは立ち上がって私に軽くキスをした。
チョコレートの味がした、甘い甘いキス。

「お前の気持ち、バレバレだぜ?」

私の想いは2月14日よりずっと前から伝わっていたみたい。



END


2006/2/14
春瀬琴音


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