過去日記小ネタ
□阿修
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「付き合って下さい。」
そう言ったのは、昔からの知り合い。
正直、可愛いなとか美人だなとか、いい奴だなとか…、つまりはいいな、とは思っていた訳で。
これが普通の「お付き合い」なら、すんなりまともにOK出来たのに。
「付き合ってくれたら、オレの事好きにしていいよ?」
はぃ?
「待て。なんだ、それ……」
「だから、見返りになんにもあげられるもの無いから。
オレに出来る事ならなんでもするし、身体も好きにしていいよ。」
聞いて、『お付き合い』の定義がわからなくなってきた。
でも、問題は微妙にそこじゃなくて。
オレと、コイツの頭の中身。
今まで気付かなかった、ズレがあること。
「…オレが好きなんだよな?」
「好きだよ!言ってるじゃん!!」
そして、長い付き合いの経験上、それが一切含みも演技も無い本音だと悟る。
これは頭イテェ。
「付き合っても、テメェは一緒片思いのままだ。」
「それってOKって事だよね?」
やった!と喜ぶのを見て、明るく朗らかなんて良く言ったもんだ。と思った。
今まで見ていたコイツはなんだったんだろう?
少なくともこんな話をされるまでは…
頭の中で、自分の常識に勝手に当てはめて、コイツを見ちゃいなかった事に気付きたくなかったけど気付いてしまった。
だけど譲れない。
自分の思いの方が、まともで正しい愛なはず。
ああ、ほっとけない。まともな愛情、わからないなんてコイツは異常。そして非常識。
今そこに堪らなく惹かれている。
今までの気持ちとはまるで違う。
身体だけみたいに言うコイツをオレが更生させたい。
両思いなんてきっと一生ないだろう。
だけど、理想を追い求めてみよう。
だって、オレの愛情の方が正しい。染めてやる。
ああ、結局愛なんて…
「おかしくないよ。ひとそれぞれだよ。」
「黙れよ。」
きっとこんなもんだろう。