ひとりごと

妄想や書きかけの文など。腐向け注意
◆日和新刊おまけ漫画を曽良目線で妄想 

※日和GB1巻ネタバレ注意


[夢の終わり]


「芭蕉さん、もう朝ですよ」
「う、うーん…うああ」

今日は早く起きて出発する予定だったというのに、相変わらずこの俳聖はなかなか起きない。

そろそろ蹴って起こそうかと思って、右足を構えることにすると。

「たび、ゴール…そらくん…」

…なるほど。

「おばけ…そらくん、おばけ…」

なぜ僕がおばけ扱いされているのかはおいといて。
どうやらこのジジイは、いずれ訪れるであろう旅の終わりを夢に見ているようだ。


そこにはきっと、僕もいる。
当たり前のように、芭蕉さんはそう思っている。

どうなるかなんてわからないというのに、この人は、それを信じている。

「たび……」

ガバッ


「夢か…」
「今うなされてましたよ芭蕉さん。悪い夢でも見たんですか」

汗をかきながら、ようやく俳聖が目を覚ました。
うなされていたことを考えると、無理に起こした方がよかったのかもしれない。

「それは正夢かもしれませんよ」
「どんな夢か聞く前からそんなこと言うな!」

ああ、やっといつも通りの朝だ。

一人で窓から景色を眺めるのも好きだが、うなされている人が近くにいては迷惑だ。

やっぱり、さっさと起こすべきだったか。
起きていて、近くでわめいている方がまだましだ。
俳句を詠んでいてくれれば、もっといい。

せめて、ゴールする瞬間までは。


end.

2015/12/13(Sun) 00:06

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