ひとりごと

妄想や書きかけの文など。腐向け注意
◆パラレル:人形の探し物 

俺は、自分の手で“彼女”を調べたいと思った。
調べなくてはならないと思った。


青みがかった白い外壁には、四角い溝が整然と彫られている。それはあの男の部屋に置かれている碁盤の模様に似ていた。白く美しい碁盤と碁盤の間を抜けていく。

自動で開く扉の先には、大量の書物が並んでいた。

「ここが、“図書館”…」

本の群れに圧倒され、言葉を漏らす。書物も広さも店の何倍になるのかわからない。


『ぱそこん』の使い方は店で覚えたとはいえ、検索には少々時間がかかってしまった。おまけに初めての図書館だ。本の場所がわかっても自力で行くのは難しい。人に聞くことにしよう。

「すみません。この本の場所までは、どう行けばいいのでしょうか?」

今日までに覚えた丁寧語を使って、作業中の館の者に声をかけた。
ここの者かどうかは、身に付けたエプロンと名札でわかる。俺も店員として店で付けているからな。

館の者は少々無愛想な若い男だったが、

「こっちです」

と言って、ぱたぱたと歩き出す。俺は大人しくついていった。


その本は児童向けのものだった。周りから見た俺の姿はかなり目立ったことだろう。

「ありがとうございます」
「いえ…ごゆっくりどうぞ」

無愛想な男はぺこりと軽く頭を下げ、元いた棚の方へ向かっていった。

さて…探すか。

・・・・
古本屋の蓮二に知られないように調べ物をするため、店ではなく図書館で探すことにした真田王子でありました。

2015/11/01(Sun) 22:58

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