ひとりごと

妄想や書きかけの文など。腐向け注意
◆パラレル:人形と古本屋の最初の夜 

人形から人間になった男を、しばらくこの店で世話を焼くことにしたのだが。
困ったことに、自分で歩けないらしい。
理由はわからない。しかし、足の骨に異常はないようだ。明日になったら、医者を呼んでくるか。

今夜は書斎に作っておいた簡易ベッドで休ませることにした。時折作業に集中して寝室に戻らなくなることがあったので、精市に「寝室に戻るのが嫌なら、寝る場所を作ればいいんじゃないかな」と勧められて作ったものだ。
精市や赤也が泊まりに来たときなどはここで寝ているが、自分以外の誰かを寝させる日が来るとは思わなかった。

男の足の悪さを考えて、トイレに近い書斎で寝させることにした…というわけだ。朝になったらもう少し片づけておこう。
歩けるようになったら寝室で寝させよう。この部屋では夜にやりたいことがたくさんある。しばらくできなくなるが、気にしないことにする。


「今夜は俺もここで寝るから、何かあったら遠慮なく起こしてくれ。叩いてくれてもいい」
「…そこまではしたくないのだが」
「最初に叩いたのは誰だったかな」
「すまなかった」
「フフッ、冗談だ。もう眠たいのだろう?今日はもう休め」

「感謝する、蓮二。それでは…」
「ああ。おやすみ、弦一郎」
「“おやすみ”?」
「この国での寝る前の挨拶だ」
「そうか…おやすみ、蓮二」

・・・・
前に書いた話をもう少し膨らませたものです。人形が人間になってから初めての夜。

2015/08/22(Sat) 11:44

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