ひとりごと

妄想や書きかけの文など。腐向け注意
◆人形の気持ちと古本屋の苦悩 

※「人形の夢」の後、古本屋の柳の話。暗いです


言ってはいけない。
自覚した、この気持ちだけは。


動かなくなった弦一郎を見て、最初に抱いたものは恐怖だった。
人形が人間になるなど、あり得ない話だ。
しかし、もし人形だった人間が元に戻れたとしたら?
これは元々人形屋にあった人形。俺が持っている意味は、本来は無いはずだ。

俺は弦一郎を離したくなかった。
だから自分の元に居させていたんだ。

愛してしまったから。
愛し続けると誓ったから。


しかし、このままでは弦一郎の気持ちを無視することになる。
今の弦一郎は、人間。
別の世界から来た人間だ。

俺はすでに「真田弦一郎」の日記を読んでいる。
もう一人の弦一郎の存在を知ってしまっている。
その弦一郎は、元の世界に帰りたがっている。それが俺のいる世界なのかはわからないが、行方不明の王子は、今ここにいる弦一郎のことだろう。

せめて、弦一郎が本来いるべき場所へ戻るまでは。
「帰りたい」と望むまでは、ここに居させたいと思う。

これは二人の弦一郎のためだけではなく、俺の我が儘だ。
いつから俺はこのような人間になってしまったのだろう。
俺には、精市が弦一郎にしたことを責めることができない。あいつはただ、自分の物を取り返したかっただけなのだから。


別れの日が来たら、うまく笑えるようにしたいと思う。
弦一郎が後悔せずに、帰ることができるように。

・・・・
仁王から不思議な日記をもらう→解読する→幸村が古本屋を訪ねてきて真田を取り戻しにくる(真実の心、人形の夢)→この話、という流れです

2015/07/13(Mon) 22:50

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