ひとりごと

妄想や書きかけの文など。腐向け注意
◆パラレル:人形と古本屋の夜 

俺が一人暮らしを始めてから、初めて二人で過ごす夜だ。

人形から人間になった真田弦一郎を、書斎のベッドで寝させることにした。仮眠用に追加したベッドがここで役に立つとは思わなかった。
俺は寝室から布団を持ってきて、床で寝ることに。

「申し訳ないな…ここはお前の家なのだろう?」
「王子に固い所で眠らせるのも気が引けるのでな。それに、座れた方が立ち上がりやすいだろう。これもリハビリの一環だ。お前には早く歩けるようになってもらいたい」
「りは…?よくわからんが、気を遣ってくれてるのはよくわかった。遠慮なく使わせてもらうぞ」
「そうしてくれ。俺の方は床で寝るのも嫌いじゃないので心配するな。本棚は倒れないようにしているから本が落ちてくることもないだろう」

この店は古民家をリフォームしてもらったものだが、近年心配されている地震への対策もできている。
家具や本棚も簡単には動かせないようにしている。少々掃除がしづらいのが難点だが。

「…怖いことを言わないでくれ」

本棚が倒れて下敷きになる様子を想像したらしい弦一郎は、渋い顔をしながら布団に入った。余計なことを言ってしまったな。

「おやすみ、弦一郎」
「…おやすみ、蓮二」

おやすみ、と言ったら同じように返してくれる。
こんな日が来るとは、誰が想像できただろうか。





2014/10/21(Tue) 14:45

[コメント書込]

[戻る]
[TOPへ]
[カスタマイズ]



©フォレストページ