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※高尾×緑間?(黒子のバスケ)



「オレは高尾!高尾和成!」

アイツは今と同じようにヘラヘラとした笑みを浮かべていた。

「…オマエは?」

テンションの高さに呆れながらも、オレは答える。

「…緑間。緑間真太郎。」


案外長い付き合いになるかもしれない…そう思いながら。


[出会い]



「ふあぁぁぁ〜〜」

オレは盛大にあくびをしながら、担任の話を聞いていた。

今日は入学式。
式も先ほど終わって、オレも晴れて高校生ってわけだ。

頑張って受験勉強に励んだかいがあった…というのは冗談で、スポーツ推薦だけどね。
ま、受かればこっちのもんでしょ?

「―あと、部活には必ずどれか1つには入部すること…」

部活かぁ…

スポーツで入ったとはいえ、別に同じのをやれだなんて言われてないし?
「新しいこと始めたいなぁ」とか「ユーレー部員でいくか」とか思ったりするわけだし?

…ま、適当に部活見学でもしておくかね。


そう思ってこれから体育館へ行こうと立ち上がったら、
ほぼ同時に隣の席の男子も立ち上がったからビックリした。

いや、ビックリしたのはそれだけじゃない。
どっちかといえば、ソイツの身長のほうにだ。

何センチあるんだよコイツ…;

オレも決して低い方じゃないんだけど…
う〜ん、やっぱりくやしい!何食べたらそんなになるわけ?

ソイツは驚いてるオレをチラリと見た後、そのまま教室を出ていってしまった。

…何て名前だっけ?ミド…なんとか?

まあいいや。どうせすぐ覚えるだろうし。
おっと、それより部活見学!
めんどいけど早めに行っとこうっと。



・・・・・・

今日は入学式があった日だ。

オレにとって…秀徳に入れることは何か月も前から分かっていたのだから、特に感慨があるわけではない。
もちろん、入ったからには学業もバスケも人事を尽くしていくつもりだ。
この気持ちは変わらずにいたいと思う。「初心、忘れるべからず」だ。


オレは隣の男子のあくびを聞き流しながら、担任の話が終わるのを待つ。
だいたいもう分かっていることばかりだ。
重要なことはプリントに書かれているのに、何故何度も言う必要があるのだろうか。


今日のおは朝占いは、微妙な順位だった。
「今日は運命の人に巡り会えるかも?でも、不注意によるケガに注意!」
ラッキーアイテムはもちろん持ってきている。今日はうさぎのぬいぐるみ、ピョン助だ。

今俺は体育館で見学をしている。もちろんバスケ部のだ。
先輩たちの練習を見て「さすがに強豪校なだけはある」とオレは思った。

数ヶ月ぶりにこの空気を味わえることを、オレは嬉しく思う。

春とはいえまだ肌寒い時期だが、この中では関係ない。


「(凄い熱気だな)」「すっごい熱気!」

そう思うと同時に声が聞こえてきて、オレは内心驚きながら後ろを振り向いた。

「あ、やっぱ同じクラスのヤツ?バスケ部入るの?」

…コイツは確か隣の席の…

「…誰なのだよ?」
「えー、覚えてないの!?ま、オレもだけどさ〜」

お互いに名前は覚えていなかったが、ソイツは大して気にすることはなく、オレにぺちゃくちゃと話しかけてくる。
…見学の邪魔なのだよ。

「…キミもバスケ部に入るのか?」
オレは少しイライラしながら話しかけた。
正直な気持ち、チームメイトになられるのは鬱陶しいが…実際、実力があれば関係ないのだ。
それにオレは、チームプレイにそこまで拘りはない…あの男と違って。

考え事に夢中でコートから目を反らしていたのが不注意だった。

「…危ない!」

オレはその時何のことか分からなかった。
「何なのだよ?」


・・・・・・

センパイのシュートが外れ、ボールがこちらに向かってくるのが『見えた』。
このままではオレじゃなくてコイツの頭上に当たることも、瞬時に分かってしまった。

オレはソイツの腕を力いっぱい引っ張る。
「…危ない!」



引っ張られて足がふらついたソイツと一緒に、オレも床に倒れこんだ。

「いったたたた…」


…なんでオレは痛い思いをしてまでコイツを助けたんだろう?
それは今でも分からない。
クラスメイトだから?
チームメイトになるかもしれないから?…いや、別にバスケ部に入るってその時は決めてたわけじゃないし;


「大丈夫か?」

ソイツは若干心配そうに高いところから見下ろしてきて、手をこちらへ伸ばす。


「サンキュー。」
ちょっと情けないと思ったけど、そこまで嫌な気分じゃなかった。

「こちらこそあ…いや、別に」
「んー?」
「な、何でもないのだよ!」

コイツ、もしかして照れ屋?素直に言えなくて目を背ける様子が、ちょっとカワイーだなんて思っちゃったりして…
って大の男にカワイーはないか。何言ってんだろオレ…まあいいか。

「どうして、気付いたのだ?
オマエはコートに背を向けてただろう。」

ソイツは真面目な顔に戻って問いかけた。
…ちょっと残念。

「え〜と…オレにも良く分かんないけど、なんかそういう能力ぽいのが昔からあってさ。『視野が広い』っていうか…地面に居ながら上から全体を見える能力、だっけな。『ホーク・アイ』ってやつ。」

その能力は…今まで役に立ってたのか立ってなかったのか微妙なところだったけど、今では感謝してる。
そのおかげで、オレは今…楽しくやってるからね。


「さっきした質問だ。」

「?」

「…オマエもバスケ部に入るのか?」


オマエも…ってことはコイツも入るのかな?
身長あるし、たしかにバスケ向きだろうね。コイツなら1年でスタメン入れるかも。

「…さぁね。考え中。」

「そうか…残念だ」

「ん…残念?」

「いや、オマエの能力と先ほどの素早さがあれば…1年でスタメンは無理でも、控え選手くらいにはなれると思っただけだ。本人の自由だからな…仕方ない。それに、ここの練習は厳しいと聞いている。やる気がないなら入らないほうがいい。」


「おぉ〜!やる気まんまんだね〜」

「当然だ。秀徳を日本一にする為に、呼ばれたのだから」

「マジで!?」

「マジだ。」

バスケ部にちょっとだけ興味が湧いてきた。
正確には、バスケをやるというコイツに…かな?


「面白いな、オマエ!…あ、そうだ!名前教えてよ」

「…まずは自分から名乗るのが常識だろう」

「ちぇ、お堅いな〜もう!

 オレは高尾!高尾和成!…オマエは?」

「…緑間。緑間真太郎。」


今まで出来たダチの中ではいないようなタイプだけど、コイツとは仲良くなれる自信があったし、仲良くなりたいと思った。


そして、お近づきのしるしに「真ちゃん」と呼ぶことにしたら怒られた。それでも呼び続けるつもりだけどね。



―試合開始まで、あと1か月。



end.
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