日和
□アゲハ蝶と銀杏の葉
2ページ/7ページ
夏の夜 月の下
ヒラリヒラリと舞い遊ぶ
一羽のアゲハが姿を見せた
「…芭蕉さん?」
『アゲハ蝶-s』
いつか僕は尋ねたことがある
―どこまで行くつもりか?
―いつまで旅を続けるのか?
あの人は笑って答えた
―終わりなんてないよ
―終わらせることは、出来るけどね
今はもうここにはいない
帰ってくることはない
今覚えば、あの質問は自分にも当てはまる。
どこまで行くつもりか?
いつまで旅を続けるのか?
―もう、一人なのに?
この旅はまだ終わりそうにない
僕があんたの分まで
この世界を廻るから
あんたのところへは、まだまだ先ですよ
一羽のアゲハがついてくる
喜びとしてのイエロー
憂いを帯びたブルーに
世の果てに似た漆黒。
図々しくも肩の上に乗ろうとするから
とりあえずチョップしておく
そして、
「馬鹿なことやってると置いていきますよ、芭蕉さん」
end.
→後書き