日和

□アゲハ蝶と銀杏の葉
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夏の夜 月の下

ヒラリヒラリと舞い遊ぶ

一羽のアゲハが姿を見せた


「…芭蕉さん?」



『アゲハ蝶-s』




いつか僕は尋ねたことがある

―どこまで行くつもりか?

―いつまで旅を続けるのか?


あの人は笑って答えた

―終わりなんてないよ

―終わらせることは、出来るけどね



今はもうここにはいない

帰ってくることはない



今覚えば、あの質問は自分にも当てはまる。


どこまで行くつもりか?

いつまで旅を続けるのか?

―もう、一人なのに?



この旅はまだ終わりそうにない

僕があんたの分まで

この世界を廻るから


あんたのところへは、まだまだ先ですよ




一羽のアゲハがついてくる

喜びとしてのイエロー
憂いを帯びたブルーに
世の果てに似た漆黒。


図々しくも肩の上に乗ろうとするから

とりあえずチョップしておく

そして、



「馬鹿なことやってると置いていきますよ、芭蕉さん」



end.
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