■デジモン小噺

□[君たちの疑問]オール
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「デジモンって恋、するのかなぁ?」



[君たちの疑問]



薪の音がパチリと鳴る。その炎に揺られて浮かぶ、ひとまとめに眠り込むそれぞれのパートナー達を見てつぶやいたのは、
「純真」の紋章を持つミミ。

自分のパートナーのパルモンは、あんな姿だけど女の子みたいだし、結構オマセなところ
があるのよね。
いつもじゃれあってるあの子達でも、恋愛なんてするのかしら?
それはちょっとした興味本位。

「ねぇっ!」

誰も答えてくれないけど、「お休み〜」って言ったのは、羊を50も数えない内じゃない!

「空さぁん…」

こういう話は、やっぱり女の子同士よね。

名指しで呼ばれた空は、夢に入りかけてた意識を手繰り寄せた。
この冒険で、この少女が一度目を向けたら気の済む(飽きる)迄追究する質の持ち主だと
承知している。観念して彼女の話に耳を傾けてやるしか、自分に選択肢はなさそう。

「…そうねぇ」


掴まれた腕をやんわり外しながら考える。
パートナーのピヨモンは、本当に可愛い。甘えん坊で、ちょこちょこ後ろをくっついてま
わっては、空、空ぁ〜って名前を呼んでくる。初めは正直うっとうしく感じていたけど、今では小さな妹ができた気分。

「私達でいうと、ピヨモン達はちょうど幼稚園ぐらいじゃない?恋っていうのはまだまだ
早いんじゃないかしら」

というのが「愛情」代表空の意見。

「幼稚園じゃあ…そうよねぇ…」

う〜ん…と考えるのを楽しんでいた2人の視線が、少し距離を置いた所に向けられる。

「ヤマトさんはどう思う?」

少々とっつきにくい雰囲気の彼に、ミミは臆すことなく話しかける。


「どうって…」
見張りを勤めていたヤマトは、女の子同士の話だと聞き流す程度しか関心がなかった。
第一そのテの話はただでさえ苦手なのに、突然この子は俺の意見を求めてきているのだ。
「恋、すると思いません?」
女の子特有のパチリとした目で攻め寄られ、後退する。早くに母と離された自分は、”女
の子”特有のものに弱く、扱い方や考えがさっぱりわからない。
長く冒険を共にしているが、その側面を十分過ぎる程持ち合わせたミミには、いつも必要
以上に構えてしまうのだ。
遠慮なしに詰め寄ってくるミミから視線を外し、傍らの相棒に目をやる。日々の戦闘で疲
れが溜まっているのだろう。
穏やかな寝息が聞こえて、顔が綻んだ。


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