■デジモン小噺

□[キモチを込めて君へ]光+テン
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どうしてこんな結果が出るんだろう。
どうしてこの方法にしたんだろう。

どうしてどうして。

たくさんの事を知りたくて。
知りたい事ばっかりで。
僕はつい君を、ほったらかしにしてしまう。



[キモチを込めて君へ]




−−〜グゥゥ…

長く続いていた静けさにピリオドをうったのは、そんな間の抜けた音。
ダークタワーのこと。チンロンモンのこと。知りたい事がたくさん出てくるから、久しぶりに側に居てくれる君を置いて、僕はまた一人で夢中になってしまっていた。

昔みたいにパソコンの邪魔をしないで、机の側にちょこんと居たテントモンは、申し訳なさそうに頭を掻いた。

「邪魔してまいましたなぁ…」

今日はお母さんが友達と出掛けているし、夕食を食べる前に
少し調べ物をしたいと言って、パソコンを立ち上げたのが6時頃。
そして今。時計を見るまでもなく、窓の景色はゆうに3時間程の時間が経っていることを
推測させた。
「−ごめんなさい!」

またやってしまった、と自分を叱咤する。

僕がパソコンと向き合っている間中、まるで一人ぼっちの人形みたいにじっとしたままだったテントモン。
お腹が空いたって家に着いた時に言ってましたっけ…。


「構いまへんで、いつまででも待ちますさかい。」

慌ててログオフしようとする僕を、のんびりとしたテントモンの声が制す。昆虫型デジモンの表情は読みづらいけど、いつものように気を遣ってるのに気付かない程、もう子供じゃないとおもっていたのに。
集中すると周りが見えなくなるのは、3年前とちっとも変わらないんだから。

”わて、光子郎はんのそういう何でも知ろうとするところ、好きでっせ”

同年代の子達から煙たがられていた僕に、初めて”好き”だなんて言ってくれた君。
冷たくあしらっても、優しく見守ってくれていた君。

みんながパートナーと楽しく過ごしている時でも、たった一人で調査に飛び回ってくれた、
君。


テントモンは、いつだって僕や、誰かを思って考え、行動してくれている。
いつだって淡々と、当たり前のように。



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