■デジモン小噺

□[忘れられた君に]太一
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「なぁなぁ太一〜」




休憩時間の生徒のざわめき。たった10分の自由時間に
頭の上から聞こえたのは、クラスでよく絡んでる奴の声で。

机に俯せになったまま、俺は軽く返事をかえした。

「お前あの石田と友達?」


あの、と付けただけでそれがヤマトを指すんだと分かる。石田ヤマトは、この学校じゃちょっとした有名人だから。
俺が反応を返さないから、コイツは「あのハーフの石田だよ」バンドやってる、と声を潜めて付け加えた。
いや、クオーターなんだけどなヤマトは。
そんな突っ込みをいつもならするんだろうけど、こいつの口ぶりから、あとの会話が想像
できてうんざりした。


「武之内ってお前んじゃなかったけ?」


ほらな。
俺のって何だよ。空もヤマトも俺も、物じゃねぇんだぞ。
直接言われないまでも、今まで学校で、何人の生徒に同じことを言われたのかしれない。

確かに、あいつらはいつの間にかそういう事になってたけど。


「違ぇよ、ふたり共トモダチ。」

だと俺は思う。





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