心の景色

□繰り返し
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繰り返し、繰り返すもの。
そのメロディーとリズムが優しいから、
毎回同じようで、少しずつ違う、厚い振動が、
私を惹き付ける―――。




ザザ―…ザ―
ザザ―…ザ―

夕暮れの浜辺は私の歩みを拒まない。

(…)

こんなに切ないのは、堪らなく苦しい。
得体の知れない何か…そう、例えば鞘から外れた鋭利な両刃のナイフを握らされたみたいな、覚束なくて不安な緊迫感。
逃げられないのか、逃げたくないのか、自分でもわからない。
でも「逃げる」という選択肢は始めからなくて。
握りしめたナイフの柄を、震える手付きで何度も掴み直し、その刃が初めに当てられるのがアイツなのか、それとも私自身なのか、先のことなんかわからない。
アイツが私を迷わせる。
なんでこんなに切ないの。
「切ない」なんて言葉、つい最近まで自分が使うなんて思ってなかった。
苦しくて、痛くて、ビリビリする。
私が掴んだのが本当に両刃のナイフだったとしたら、誰かが傷つくんだろうか。
それとも、私が…。


私が――…。


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