言葉の垣根
□キャンバス
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君を思い出すのは
夕方の風が少し
肌寒く感じられる季節
カーテンの隙間から
毎晩、月の変化を眺めてた
君の耳に
映像を贈るように
僕は毎日言葉を重ね
君は目を閉じたまま
僕の手を握り返した
言葉なんて
間接的な記号に過ぎないけど
肌に触れる温もりは
心まで浸みわたる
僕は目を閉じ
君が耳で見た景色を聞く
君の闇に僕が描いた
歪(イビツ)な夜空は
確かな温かさを持って
その心に広がっているようだ
その景色は
僕には決して見えない
君の目に
一つの星も映らないのと同じように―――