++頂き物++

□frantic甘々編(RK)
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大通りに出るまで必死に走って。


走って、走って。


酔っ払い客を狙う居酒屋の前に停まっていたタクシーに乗り込んで、
スピードを上げるよう催促を繰り返して着いたのは見慣れた自分のマンション。
割と長い階段が続くエントランスまでのその段差を数段飛ばして駆け上がり、
エレベーターを待つのも億劫で普段は絶対使わない階段をまた登る。


漸く辿りついた自分の部屋。
玄関の前には敏弥さんが壁に凭れて立っていた。
すっかり息が上がって肩を上下させる俺を横目で捕らえて一瞬だけ八重歯を見せて笑った。



「薫くんから連絡あったよ。流鬼くんを信じて待っててあげてってさ」



玄関の前に立って隣にいる敏弥さんを見上げると、

今日初めてみた、人懐っこい感じの可愛らしい笑顔。
年上の人に”可愛らしい”なんて失礼かもしれないけど、ホントその表現がピッタリ。



「京くんの気持ち、俺達の期待・・・全部裏切らないでね?」

”君はそれだけの人に恋をして、そして選ばれたんだよ?”



俺が頷いたのを確認して敏弥さんはインターフォンを長い人差し指で押した。
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