☆
□feel
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触れて触れて
この色褪せた日々をどうか彩って
feel
テッドは与えられた部屋でただベッドに腰掛けていた。
する事もなく、ただ波の音に身を任せる。
静かで、心地が良かった。
ドアのノックを聞くまでは。
「やぁテッド!船の中を案内するよ」
ノックの返事をする前に開いたドアにテッドは眉を寄せる。
しかし入って来たこの船の主は気にする事もなくにこやかに笑っている。
テッドはフイと視線を反らした。
するとハトネは少しだけ笑って、テッドの隣に腰掛けてきた。
「ね、テッド?気分が乗らないなら船の案内はまた今度にしようか。」
果たして自分に気分が乗る時が有るのか謎だったが、テッドはとりあえず頷いておいた。
そして、いまだ隣に座り続けるハトネをちらりと見たらバッチリと目が合ってしまった。
「……なんだよ」
「うん、テッドが仲間になってくれて嬉しいなって」
ニコニコと笑うハトネに自嘲気味た笑みが浮かぶ。
「はっ、精々こいつが仲間の命を吸い取られないように目を光らせといてくれ」
右手の紋章に触れながら言えば、ハトネは少しだけ悲しそうに眉を下げたが、すぐに優しい笑みを見せた。
海の瞳は、どこまでも深く優しい。
ふわりと細められた瞳に吸い込まれそう。
「どうせ吸い取るなら、他の誰かじゃなく僕の命にしてよ。そしたら、テッドとずっと一緒に居られるよね?」
「馬、鹿か…っ!吸い取るって事は死ぬって事だぞ!」
真剣に怒るテッドにハトネは困った様に笑う。
「だって、僕も僕の紋章に命を削られてるからね。どうせなら、テッドと一緒に居たいじゃない。一目惚れとか、信じてくれる?」
すっと近寄ったハトネの綺麗な顔に肩を強張らせるテッド。
ハトネもそのまま、テッドの琥珀の瞳を見つめる。
「んなの、信じるか…!」
ハトネの瞳を見ていられず、テッドは視線を外す。
ハトネは手を伸ばして柔らかなテッドの頬に触れる。
触れた瞬間震えた体には気付かない振りをして、そのまま柔らかな額に唇を触れさせた。
「……っ!」
ギュッと目を閉じて顔を赤くするテッドにハトネは思わず声を出して笑った。
それに更に顔を赤くしてテッドはハトネを睨む。
「このやろう…っ、!」
ハトネは怨念の込もってそうなテッドの視線にも負けず華の様に笑ってみせた。
「あ、そうそう。ちなみにテッド。僕はテッドが紋章を持ってるからとか、男だからとか、歳がどうとかで諦めたりなんかしないからね。大丈夫、テッドもすぐ僕の事を好きになるから」
そして、テッドが驚き(その発言と自信の程に)に茫然としているのを良い事にハトネはテッドのその唇を自らの唇でかすめていった。
「…っ!!!…誰が…お前なんか好きになるかぁっ!」
吠えたテッドの言葉にハトネはただただ愉しそうに笑った。
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