□humor
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例えば、お前は



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「京さん、好きです、愛しています」

「寝言は寝て言うもんやぞこの餓鬼」

ちらりとも流鬼の姿を見ずに言い放つ京に流鬼はニコリと笑う。
もちろん、京の視界にその笑みは入っていないが。

「やだな京さん、寝言じゃないですからね、寝ませんよ。」

「あぁさよか、そら悪かったな」

言いながらトントントンとペンの先でリズムを刻む。
どうすれば、この性懲りも無い餓鬼は諦めてくれるのか。

「ね、京さん。俺初めてなんです。こんなに人を好きになってしまったの」

だから、どんなに滑稽な事も出来る気がするんです

言った流鬼に思わず笑いが込み上げる。
心にも無い事を言うなと罵りたかった。

「ほな、僕の幸せを祈って何処かへ消えてくれんか」

煙草の煙を吐き出して言ったら、流鬼は少し黙って、立ち上がった。
そのまま部屋を出る。
あぁ、これで静かになった。
と思った。
けれど、今度は頭の中で流鬼がうっとうしい。
どうした事か。

「チッ、あほが!」

流鬼に言ったのか自分に言ったのか、京は悪態を吐き捨てて流鬼が出て行ったドアを開いた。
すると、ドカッとドアが何かに当たった。
京が驚いてそちらを見ると腰を打ったのか腰を擦っている流鬼が蹲っていた。
京は眉を寄せて目を細める。

「何してんのや」

「いや、とりあえず京さんの視界からは消えた方が良いかな、と思ったんですが、離れ過ぎたら死ねるなと思って、死んだら、京さんの幸せを祈ってられないな、と思って此処に居たんで痛い痛い痛い痛い痛いです!」

ギリギリと土足で流鬼の投げ出されたふくらはぎを踏みしめてやる。
なんつーアホに構ってしまったのか!
自分のアホさに涙が出る。
しこたま流鬼を踏みしめて、京も流鬼に視線を合わせるかの様にしゃがむ。
その視線の鋭さといったら、まるで人を殺してきたかのよう。
流鬼は慣れた様に嬉し気な笑みを見せる。

「京さん?」

「もぉええ、とりあえずもう一回僕が消えろ言うまで、二度と僕の前から消えんな」

言って、言葉の意味を理解して嬉しそうな流鬼の胸ぐらを就かんで唇を引き寄せた。


滑稽なのは、一体どちら…?







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