PKSP3
□シャボン玉を弾く
2ページ/3ページ
「レッド?」
ふと、今まで大人しく座っていた我が子が立ち上がり、トコトコと母の元へ歩き出した。大人たちが見守る中、レッドは小さな手でグリーンの頭を撫で始める。きょとんと見上げるグリーンの表情に、手はそのままで、不思議そうに首を傾げた。
「ないてるかとおもった」
「ないて、ないもん!」
ムッとしたように言い返すグリーンに、レッドはにこりと笑ってみせる。頭から退けた手をグリーンに向け、改めて笑いかけた。
「じゃあ、いっしょにあそぼ?」
「・・・・・あら」
嬉しそうに手を繋いで何やら話し合っている幼子たちに、ハーライトが小さな声を上げた。
「レッドから人に声をかけるなんて、珍しいわ」
「そういやそうだな」
育てやすいといえば育てやすいが、少々大人しすぎるきらいがあると感じていた夫婦には、嬉しい出来事だったらしい。双方瞳を細め、観察している。
「・・・・大丈夫?変なことして泣かしたりしないかな、うちの子・・・・」
「大丈夫よ、レッドは大人しいだけで、気は弱くないから」
「っていう、話」
「ごめん、聞いても全然憶えてない」
そもそも自分が大人しくて育てやすい、という時点でちょっと怪しい、とレッドは内心思った。
「小さい、頃から、レッドに、引っ張って、もらってた、のかな?」
「そんな大袈裟な・・・・・」
自分の憶えていないところで、それでも確かに繋がっていた。それが何だか嬉しくもあるし、照れくさくもある。
「・・・・・また、さ」
「うん?」
穏やかに微笑みながら、レッドがそっと凭れてくる。繋いだ手はそのままに、自らの頬に当て、思い出話を真似るように、改めてグリーンに笑いかけた。
「また今度、こういう話もしようね?」
End.