PKSP
□愛し君へ4
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お願い。
あの子を独りにしないで・・・。
「グリーン起きて!パパもママもおじいちゃんもいないよぉ」
また、例の夢らしい。姉に起こされ、ぐずっている自分がいる。
・・・何だか巻き戻ってるし・・・何だこの夢。大体、実際あった出来事でも、こんな昔のことなんて、こんなに憶えているはずがないのに。
無理矢理起こされて不機嫌だった幼いグリーンが、そろそろ本格的にぐずり出した。慌ててナナミがあやしながら両親を捜しに連れていく。
今日は長いな。
そう思いながらぼんやりと見つめ、考えた。
ストライクがいる、ということは、4歳は越しているはずだ。だが、当然ながら、その頃の記憶など、朧げにしか残っていない。
テレビで見た、とか・・・?いや、そうだとしても、ここまではっきりはしていないだろう。
夢は自分が母に抱き着いたところで途切れ、またもや暗闇に包まれた。
グリーンは眼を細めた。・・・やっぱり、また誰かいる。
「あなた、誰?この夢と、何か、関係があるの?」
何者かは、聞こえているのかいないのか、全く反応しない。
グリーンは小さく溜息を吐いた。これでは埒があかないではないか。
「夢だし・・・。意味、何も、ないのかも・・・」
「いいえ。」
呟きに反応するかのように、ソレがはっきりと答えた。
前よりよく聞こえる−−どうやら、ここも少し変わったらしい。
「どういう、意味?」
ソレは、躊躇うような間を置いて、答えた。
「貴方は、真実を知る覚悟がありますか?」
「は?」
「全てを知って、なおあの子を愛してくれますか?」
−−夢は、そこで途切れた。
「真実?覚悟・・・?あの子って、誰!?」
あと、独り言、聞こえるなら、はじめから、答えてよ!!
布団から起き上がるなり夢にツッコミを入れている自分の怪しさはとりあえずスルーしておく。
跳ね起きたせいで転がったポケギア(記憶にないが、どうやらいじっている間に寝てしまったらしい)を見ると、現在午前5時。なんとも微妙な時間である。
少しだけ考えて、二度寝はあっさり諦める。着替えてリビングに行くと、母のオオタチが擦り寄ってきた。
何だか今日は気が乗らない。ジム閉めておこうか。ここのところ挑戦者も少ないし。昨日の事件について調べてみようか。
オオタチの頭を撫でながら、今日の予定を立てた。