PKSP
□愛し君へ3
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どうか・・・・・どうか
幸せになって・・・・・・・
・・・・・・・まただ。
またあの夢だ。
燃える家も、人の声も、とてもリアルで。
まるで現実に起こっているかのように感じる。
何やら深刻そうに話している両親と、自分を抱き締めている姉。
「大丈夫だからね。お姉ちゃんが守ってあげるからね。」
半ば涙目ながらも、必死でそう言っている姉の姿がぼやけて、あぁ、夢が覚めるんだ、そう思った。
・・・・・しかし、夢は覚めなかった。
急に暗闇の中に投げ出され、グリーンは困惑した。
「いつもの夢、違う・・・・・?」
そう呟いた途端、目の前に『何か』が現れた。グリーンには、何故かそれが『ヒト』なのだという確信があった。
「ッッ!?誰!?」
呼び掛けに応じる気配はない。
辺りは真っ暗でヒトらしきものの性別すらわからない。
敵か味方かもわからないソレに、グリーンは身構えた。
「・・・・・・・て・・・・の・・・・・・・ら・・・・」
ふいに、全くの無反応だったソレが、何かを話し出した。
「ご・・・・・・・・・・い・・・・・・んで・・・・・だ・・・・・・・・・・・て・・・・・・・」
「何!?聞こえない!!」
大声で怒鳴ってみるも、声の大きさは変わらない。
何が言いたいのかさっぱりわからず、グリーンは眉間に皺を寄せた。
それが伝わったのか、ソレは笑ってみせた。
・・・こんな暗闇の中なのに、何故か笑ったのはよく解った。
「どうして・・・・・?」
どうして、俺の夢に出てきたの?
どうして、俺に何かを伝えようとしているの?
どうして、初めて会った俺に、そんなに優しく笑いかけてるの?
疑問ばかりがぐるぐると頭を廻る。
ソレは、グリーンの問いに答えることなく、ただ、もう一度、静かに微笑んだ。
まるで母が我が子に向けるような、優しい・・・・・・それでいて、とても、とても寂しい笑顔だった。
それを合図にするかのように、すぅっと、音もなくソレは消えていった。