Treasure

□霧雨
1ページ/7ページ


俺は静かに手元のカップに入れた紅茶を飲んだ。

「…………」

最近、ゴールドの奴が俺を避けている、気がする。
理由は全くわからない。
俺と二人きりになったときは必ずと言っていいほど席を外すし、目が合ってもそれとなく逸らしてしまう。
この前だって――――……

「ゴールド、最近ちょっと変よねぇ」
「――――っ、ごほっ!!」

完全に物思いにふけっていた俺は、いきなりのブルー姉さんの言葉に思わずむせこんでしまった。

「ちょ、ちょっとシルバー大丈夫!?」
「だ、大丈夫だよ、姉さん」

背中をさすってもらい、息を整える。
すると姉さんが、先ほどの話を続けてきた。

「それはそうと、よ。…最近のゴールド、何だか無理をしてるように見えてしかたないのよねぇ」
「無理……」

思い当たる節なんてない。

分からない。
解らない。
あいつが、わからない。

今まで、本当にいろんなことがあった。俺がウツギ博士のところからポケモンを盗み出したのに始まり、スイクンたち伝説のポケモンとの出会い、いかりのみずうみでのポケモンたちの異変、そして――――…………。


_
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ