Treasure
□霧雨
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俺は静かに手元のカップに入れた紅茶を飲んだ。
「…………」
最近、ゴールドの奴が俺を避けている、気がする。
理由は全くわからない。
俺と二人きりになったときは必ずと言っていいほど席を外すし、目が合ってもそれとなく逸らしてしまう。
この前だって――――……
「ゴールド、最近ちょっと変よねぇ」
「――――っ、ごほっ!!」
完全に物思いにふけっていた俺は、いきなりのブルー姉さんの言葉に思わずむせこんでしまった。
「ちょ、ちょっとシルバー大丈夫!?」
「だ、大丈夫だよ、姉さん」
背中をさすってもらい、息を整える。
すると姉さんが、先ほどの話を続けてきた。
「それはそうと、よ。…最近のゴールド、何だか無理をしてるように見えてしかたないのよねぇ」
「無理……」
思い当たる節なんてない。
分からない。
解らない。
あいつが、わからない。
今まで、本当にいろんなことがあった。俺がウツギ博士のところからポケモンを盗み出したのに始まり、スイクンたち伝説のポケモンとの出会い、いかりのみずうみでのポケモンたちの異変、そして――――…………。
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