PKSP3

□明日はきっと青空
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サアサアと、雨が降り注ぐ音がする。先程までは気がつかなかったが、雨粒自体は小さいが、降水量は少ないとはいえない。トキワのジムから、マサラの自宅に帰るまでには、傘があろうとそれなりに濡れるだろう。



「リザードン、無理。歩くね。」



窓から外を覗いているリザードンの身体を一撫でする。何処か申し訳なさそうな彼に、グリーンは笑った。リザードンの背に乗って空を飛ぶことも好きだが、のんびり歩いて帰るのも嫌いじゃない。



「ヌ〜!」



心なしかしゅんとしているリザードンと対照的に、最近育成中のヌオーが嬉しそうな声を上げた。円らな瞳をキラキラさせながら、グリーンの顔を見ている。



「一緒、帰る?」



普段はボールに入ったまま帰るのだが、こんないい天気(ヌオー的には)なら、のんびり散歩でもしたいのだろう。グリーンの提案に、ヌオーは嬉しそうに両手を挙げた。



黒い傘を広げ、外に一歩出る。静かに降り注ぐ雨は、激しい雨とはまた違った形で周囲の音を奪う。ヌオーが嬉しそうにくるりと回った。



「つやつや。楽しい?」



木々は瑞々しさを増し、とても鮮やかに目に映った。草タイプのポケモンは雨が好きだ。緑の多いトキワも、雨が好きなのかもしれないと思いながら、グリーンはゆっくりと歩き出した。




















「・・・・・雨、凄いんだけど・・・・」

「ピカァ・・・・・」

「これだけ降ってるとさ、正直大粒だろうが小粒だろうがどうでもいいよね・・・・・・」

「ピィ・・・・・」



朝から雲行きが怪しいと思っていたら、やはりかと、レッドは溜息を吐いた。ピカチュウが律儀に返事を返してくれる。彼も濡れたくはないらしく、レッドの頭上から動こうとしない。



「フッシー、気持ちいい?」

「ギャウ!」



外に出たいと、珍しくおねだりしてきたフシギバナは、ご満悦らしい。ニコニコと笑いながら、弾んだ声で応えてくれた。



「そっか。よかったね。」



レッドも釣られるように表情を綻ばせた。レッド自身は雨はあまり好かないが、これほどまでに喜んでくれるなら、たまにはいいか、という気にもなる。



「別にいいんだけどさ・・・・・フッシーは雨好きだけど、ニョロはそうでもないんだよね?」



今もボールの中にいる幼馴染に声を掛けると、ウンウンと頷かれた。水タイプなのに、と思わんでもないが、個々の趣味だ。口を挟むつもりはない。



「ピ!」



つまらなさそうにしていたピカチュウが、急に声を上げて一点を指差した。可愛らしい手の方向を見ると、見慣れた癖毛と青いポケモンが見えた。



「グリーンだ・・・・・って、あ・・・・」



レッドの視線の先で、グリーンが転んだ。正確に言うならば、青いのに飛び付かれ、倒れたのだ。



「何やってんだよ、この雨の中!」



放っておけば、そのまま遊び出すであろう彼を引っ張り起こすために、レッドは歩を速めた。
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